人生は資本主義に縛られず、自然に生きるべきだ!
だから旅に出よ!
私はそういうメッセージを持った作品だと途中まで思っていた。
主人公のクリスも、そう思っていたのだろう。
しかしこの作品はラストまできて様相を変化させる。
一人旅に没頭していたクリスは最後の最後になってやっと気づく。人間は人との関わりを持って初めて豊かさを得る事を。楽しみや悲しみを人と共有する事の大切さを。
思い返せば物語の中盤に登場するジャンとレイニーカップルの二人共がクリスに言った言葉。
Do you know what I mean ?
ジャンとレイニーは旅の過程で自分達の気持ちを通わせる事が出来なくなりとても不安定だった。
しかし、クリスという息子を思わせる存在が介在して、互いの気持ちを共有する事により徐々に二人の関係には暖かみが増し、人間らしさを得る事ができた。
人と人が気持ちを分かち合う大切さを見せられていたのだ。
不思議なバスの日から始まり、1章〜5章でそれ以前を遡るコンテクスト構造が、最後のシーンで一番伝えたいメッセージを分かりやすく且つ生々しく、観る者に伝える事に成功してる。
音楽も素晴らしかった。