シネマスカイウォーカー

ウォーリーのシネマスカイウォーカーのレビュー・感想・評価

ウォーリー(2008年製作の映画)
4.6
ピクサー22作品目。長編9作目。

時は西暦2805年。地球は人類による環境破壊によって生命が居住不可能な状態になってしまっていた。人類はBNL社の作ったノアの方舟とも言える大型宇宙船に乗って故郷を離れ宇宙で生活していた。残された地球ではゴミ処理ロボットたちがゴミの片付けを行っていたが、稼働しているのはウォーリーのみだった。日々仕事をしつつ孤独ながらも地球での生活を自分なりに楽しんでいたウォーリーにはとある憧れがあった。それは他人と手を繋ぐこと。そんなウォーリーの元にある日、探査ロボットであるイヴが地球に訪れるのであった。イヴに好意を寄せるウォーリーはイヴを追って地球を離れ人類の住む大型宇宙船アクシオムに辿り着くのであった。

今作でピクサーはSFに挑戦!
宇宙にある様々な天体を綺麗に描いている他、宇宙での等速直線運動など滑らかな描写を描くことに成功している。
また、『カーズ』で得た金属光沢の表現に加え、サビた鉄の表現や土の表現が格段に強化されている。他にもウォーリーのレンズの光の反射などもクオリティが高い。また、今回は初の実写の人間がアニメの中に登場するという演出がされている。これは現代に生きる我々人間と800年後の変わり果てた人類の見た目の変化を際立たせるための演出だと考えられるが、それにしても実写の人間の映像を使うとは大胆だと思う。

テーマとしても環境破壊や便利になりすぎた人間社会による運動不足など子供にも視覚的に見てわかりやすい内容になっているのはもちろんだが、隣の人ともチャットで会話したり、電波をかえした友好関係、画面ばかり見て自分の住んでる身の回りのことが見えていないといった現代のスマホ社会、SNS社会についての警鐘も2008年時点で鳴らされているのが凄いと感じる。

SF映画としても申し分ない出来だがやはりなんと言ってもウォーリーというキャラクターがとても魅力的だと感じる。純粋で人想いで好奇心旺盛なウォーリーを見ていると観客は好きにならざるを得ない。また、他人と手を繋ぐことが夢という部分もとても愛らしく、イヴへの想いも一生懸命なのがとても可愛らしい。

「WALL.E」とはどう言った意味があるのか、考えてみるのも面白い。eveとの壁なのか、Earthとの壁なのか。設定資料集的に言うと「Waste Allocation Load Lifter – Earth Class」の頭文字を取ってこの名前となっているよう。

劇中に流れる音楽も最高にマッチしている。特にエンドロール曲「Down to Earth」が好き。エンドロールの演出も凝っていて、アクシオムが再び地球に降りたって以降の出来事が絵で描かれて行く訳だがその絵が壁画チックになっていたりと人類史における進化や文明の発展をなぞるように描かれている。

テーマ性やキャラクターの魅力といった色々な要素が本当によく出来ており『レミーのおいしいレストラン』に続き傑作続きとなった。

ピザプラネットの車が映り込んでいる。

ウォーリーがルクソーの電球を取り換えて自らはRになる