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東雲楼(しののめろう) 女の乱のORODIMのレビュー・感想・評価

4.8
いやこれは、陽煇楼とか見たせいでアマプラのおすすめがお座敷ものだらけになり、何気なく見ただけだったんだけど、これは、かなり、かなり良かった。
勢いがあって魅せてきた。演技もすごくいい、有名な人は言わずもがな、多くの名前も知らない女優さんたち、一人ずつみんな雰囲気がよかった。熊本の方言言葉もすごく良い!台詞、ストーリーの抑揚、それぞれの際立ったキャラクター、なにかしみじみ思いにふけりたくなるような、かっこつけた作品ではない。うそやんと笑えるシーンもあるけれど、それも愛嬌になっており、エンターテイメントの底力と意地を感じた。女の乱、の名の通り、この遊郭の女たちはすごく強くて粋で頼もしく同時に儚なく、こんな映画の中にしか居ない女たちだ。こんな女たちが今後映画で描かれたとしても、これほど輝けることはおそらくもうないだろう。女中さんが、「私だってもちっと器量のよかったら芸妓になりたかったと!」と芸妓さんを怒っているシーンとか、白い飯を不味いと言って回りにやんや言われた芸妓が啖呵切るシーンめちゃめちゃよかった。明治末期の遊郭文化が最後の灯火を燃やさんとする晩秋の時代、そのあとおしと盛り立てさかんな女たちのパワーに圧されて、おてもやんの大合唱総踊りには目頭が熱くなった。
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