七沖

ゴジラ×メガギラス G消滅作戦の七沖のレビュー・感想・評価

3.8
“地球最大の死闘(デスバトル)。”
めちゃくちゃ盛ったキャッチコピーだなこれ(笑)
でも生頼範義氏が描いた本作のイラストポスターを観ると、なんだかそんな感じがしてくる。

ゴジラによる被害が度重なり、首都を大阪に移転した現代日本。ゴジラを小ブラックホールに吸い込ませて消滅させる兵器、ディメンションタイドの開発に成功した人類だったが、試射をした際に発生した時空の歪みから、古代トンボのメガギラスを呼び寄せてしまう…というストーリー。

先日『空の大怪獣ラドン』を観て、メガヌロンつながりで久しぶりに再観賞。当時映画館で観たっきりで、当時はそこまで面白いと思わなかったのだが、今回観てみるとけっこう面白い…!
シリーズ初の女性主人公やゴジラに生身でしがみつくシーンなど、今までのゴジラになかった新しいものを見せてくれたと思う。

まず、冒頭のゴジラ大阪上陸時の防衛戦。
ビルとビルの合間からゴジラが出てくる前に、路上のごみ箱が震動で吹っ飛び炎上する車が空を舞い、恐怖心をかき立てられてから満を持してゴジラが登場するという展開が素晴らしい。
大阪城の横に合成バリバリの国会議事堂があるシュールな首都・大阪だが、リニアモーターカーが実用化されていたりと、新しい世界観を作るという意気込みを感じる。

そして渋谷の水没。
渋谷だけ水没するわけないだろ、渋谷が水没するなら首都圏全域が水浸しでは、と思いつつも、109の前が湖みたいになっていたり、ゴムボートでサラリーマンやギャルが避難するというそのビジュアルは新鮮で面白い。

最後にお台場でのゴジラとメガギラスの戦い。
これが思っていた以上に昭和ゴジラっぽい戦い方で、生物同士の殺し合いというよりは少年漫画のバトルを観ているかのようだった。すれ違いざまに攻撃する、やったか!?と思わせて…といった感じでケレン味全開だ。
自分はこういうノリが好きなので、大いに楽しんでしまった。ただ、ゴジラのフライングボディプレスはやりすぎだったかも…
さらに落下するディメンションタイドの照準を合わせる展開は、今までのゴジラ映画にない緊迫感があったと思う。

その反面ハマれなかったところもあり…
なんというか、登場人物がアイコン的なキャラばかりで、誰にも感情移入できなかった。
せっかくの女性主人公なのにあまりそれが活きた展開はなく、打倒ゴジラの執念もあまり伝わってこない…。
でもそんな主人公が慕う上官役が永島敏行だというのはよかった!
自衛隊服を着ているともうガメラ2の渡良瀬にしか見えない(笑) 宮川という役名だそうだが、次回作『ゴジラ×メカゴジラ』でも同様の役名で登場していて、そちらではちゃんと生きていてよかった。

主人公をサポートする相棒役に谷原章介。
めざまし8で毎朝お馴染みの顔だったが、役者として観るのはなにげに今回が初めて。なんかキザっぽい感じだったが、やる時はやる一番好感が持てるキャラだった。

総じて怪獣描写はかなりこだわりを感じるのに、人間ドラマはイマイチ…という感じだ。
だが、『空の大怪獣ラドン』という昔の作品の設定を活かして、単なる続編ではなくさらに新しいものを作った本作。
自分にとってはけっこう上位に食い込むゴジラ映画になりそうだ。
七沖

七沖