トランティニャン

美しき運命の傷痕のトランティニャンのレビュー・感想・評価

美しき運命の傷痕(2005年製作の映画)
3.0
個性的な女優3人が、浮気される妻、孤独な女、不倫に走る女というバラバラでありながら、元を辿れば「ある出来事」に集約される傷を負った三姉妹を演じている。そして、理屈では、または「偶然」という概念では説明できない「運命」というものを軸に、3人の物語がグルグルと回り始める。

あらすじをざっと説明した感じだと、「運命は自分で切り開く」とばかりに成長を遂げるだけのありがちな映画と思ってしまうのではないか。自分も途中までそう思っていたし、物語も確実にその方向に進んでいた。
しかし、物語は「鶴の一声」を炸裂させて急速に幕を閉じる。そして、劇中何度も登場した螺旋のようにカメラは回転し、その遠心力でこれまでのストーリーを吹き飛ばしてしまった。

そして思うに至る。「運命から簡単に逃れられると思うなよ」と。あなおそろしや、運命至上主義。
彼女たちの選択は一見力強そうに見える一方で、運命の大いなる力に支配されているだけと捉えざるを得ないのだ。この映画の狙いは、運命という神の力を知らしめるという宗教的な部分にあって、他のフェミニンなおフランス映画とは一線を画している。近いものを探すとなると、「北斗の拳」になりかねない(笑)。