スギノイチ

ゾロ目の三兄弟のスギノイチのレビュー・感想・評価

ゾロ目の三兄弟(1972年製作の映画)
2.5
せっかくの濃い3人なのにキャラ的な差があんまり無いのが惜しい。

これが小林旭が東映に移籍して最初の映画になるんだろうか。
若干、日活のスタイルに寄せているふしもあり、山下耕作作品にしてはかなり喜劇性が強いものの、基本的には東映任侠のフォーマットに則っている。
3人ともエロでバカで乱暴なヤクザという設定はコメディパートでは賑やかしになって楽しいけど、そのせいで逆に3人とも似た様なキャラクターになってしまっている。
一応、田中邦衛が一番モテなかったり、逆に渡瀬恒彦だけヒロインと懇ろになれたりってのはあるけど、せっかく全然タイプの違う役者なんだから、もっと本質的な差が欲しかった。
やっぱり、『狂犬三兄弟』や『血桜三兄弟』の個性の絡み合いは凄かったのだ。

とはいえ、エロバカ珍道中からシビアな暴力の世界に一転してからの空気の張り詰め方は凄いものがあるし、ヒロインをゲットしたにも関わらず渡瀬恒彦が「嫁はんは他人。兄貴は兄弟やないけ!」と殴り込みに合流するシーンは熱い。
ただ、最後に敵ボスの河津清三郎を三方向から同時に斬るシーンはちょっとノレなかった。
三兄弟ならではの殺陣!といった意図なんだろうけど、間抜けな上に、ともすれば単なるリンチ殺人に見える。
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