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按摩と女のneohetareのレビュー・感想・評価

按摩と女(1938年製作の映画)
4.2
目が見えないからこその眼の鋭さ。

「東京の女」が何かに怯えて、何かから逃げようとしていることを按摩だけが感じ取り、それからというもの彼は「東京の女」のことが気に掛かって仕方が無くなってしまうのだった。

誰にも知らせていないのに、自分が思い悩んでいることを察してその身を案じてくれる、それがどれだけ尊いことか。

愛のお話ですよね…。

でもその愛も動かすことのできない現実によって洗い流されてしまう。

愛のありがたみなんてこうやって第三者的な目線からしかはっきりと認識しづらいものですし。

一瞬でも誠実な愛に触れた(でもそれには応えず、逃げていた旦那の元へ戻る選択をした)「東京の女」はこれを糧に今後をなんとか前向きに生きるのか、はたまた後悔と共に日々をやり過ごすのか。

p.s.
按摩が学生連中と夜の橋で喧嘩を始めるカットの直後に翌朝傷だらけで歩いている学生達のカットが繋がる所(按摩が学生を打ち負かしたとわかる)で、これがモンタージュよな、と久しぶりに感じた。
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