三樹夫

サムシング・ワイルドの三樹夫のレビュー・感想・評価

サムシング・ワイルド(1986年製作の映画)
3.7
ジョナサン・デミ監督のラブロマンススリラー映画。口から出ることと言えば仕事の話ぐらいしかないエリートだがはっきり言って空っぽの主人公が、あんた食い逃げするつもりでしょと変な女に絡まれて、仕事ほっぽりだしてドライブしながら行く先々で無茶なことをしていく。映画の半分ぐらい経ったところでオシャレ角刈りの、ポジパンバンドのボーカルみたいなレイ・リオッタが出てきて、当然レイ・リオッタはあたおかでえらい目に合う。
変な人が出てきてとんでもない目に合うというので『ブルーベルベット』を想起したり、主人公が変なことやって頑張って逸脱していこうというので『卒業』も想起する。空っぽの仕事人間主人公がメラニー・グリフィスと出会うことで人間性が変わっていく。

レイ・リオッタは映画初出演。出てきた瞬間からこいつはヤバい奴だと分かり関わっちゃいけないというのを察知するが、主人公の野生の感が鈍すぎてホイホイついていき案の定この世の地獄を味わう。レイ・リオッタのあの独特の笑い方は既に健在で、とにかく既に顔が怖い。メラニー・グリフィスにもの凄い執着するが特に愛しているわけではない。野生の熊は執着心が凄く横取りされようものなら凶暴な攻撃性を発揮するのだが、まさにそんな感じ。強さへの妄執で刑務所でひたすら体鍛えたというので、後の『ケープ・フィアー』のマックス・ケイディにも通ずる、ストイック系野獣あたおか恐怖男だ。

有名曲がバンバン劇中で流れるが、この当時は音楽の使用料が安かったためこの映画のような低予算でも使用できたとのこと。それにしてもデヴィッド・ボウイの「Fame」は映画によく使われるな。『ハウス・ジャック・ビルト』、『フォックスキャッチャー』、『コピーキャット』でも使われていたが、名声をテーマにしたシニカルな歌詞が刺さるのかな。
三樹夫

三樹夫