こん

インファナル・アフェアのこんのレビュー・感想・評価

インファナル・アフェア(2002年製作の映画)
5.0
いつ自分の存在証明がなくなるかわからない。そもそも、自分が自分であること、善い人間であることなんて、どうやって証明できよう?IDが消えたら?本当の自分を知る人間が誰もいなくなってしまったら?その静かなる恐怖感たるや。まるで自分だけが、別の世界に生きているみたいな無限の寂しさを感じる。
中盤からの盛り上がりは格別だと思う。異様に完成度が高い。感情に訴えてくるシーンが畳み掛けるように続く、しかも圧倒的に品を保ったままに。
音楽も、いわゆる香港アクションみたいなチープな(すいません、でもそれも好きだ)ものでなくて、往年のリュックベッソン映画のようなエキゾチック×クライム感に気分高揚。
トニー・レオンの哀愁湛える笑顔と、アンディ・ラウの冷たく力強い表情がたまらん。
裏社会と堅気の世界、それぞれの絆や人情の在り方を見てると果たして何が善で悪なのかわからなくなってくる。煉獄に落ちた人間には、ただ繰り返される無限の人生という苦しみが待ってるのだろうか、それは本当に苦しいのだろうか。神、いや仏のみぞ知る、のだろうか

誰もが認める香港ノワールの超最高傑作、本当にそう思う!

2016.3.11再レビュー
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