ピッコロ

インファナル・アフェアのピッコロのレビュー・感想・評価

インファナル・アフェア(2002年製作の映画)
5.0
無間地獄に死はない。
長寿は無間地獄最大の苦しみなり。

たまに映画を観てるとビビビッとなる瞬間がある。ああ、この映画はこれから一生付き合っていくことになるんだろうな。この映画を最初に観た時そう感じた。
今日も映画とういう無間地獄を彷徨い続けている。

マフィアに潜入した警察官と警察に潜入したマフィア。二人の男達の熱い戦い、その生き様を描いた作品だ。冒頭、話の展開が早いので事前にどういう話か頭に入れておくと物語に入りやすい。

原題は無間道。仏教用語で無間地獄を意味する。
絶え間なく責め苦にあい、そこから抜け出すことが出来ず永遠と繰り返される地獄である。

ヤンはマフィアに潜入した警察官。
一向に終わりが見えない潜入捜査に苦悩していく。自分が悪にだんだんそまっていくのが恐ろしい。信じられるのは己の信念のみ。警察官という正義の心で日々耐え忍んでいく。ただ、ヤンは身近に理解者がいるし自分の信念を信じて生きている。まだ、そこまでの苦しみは感じない。

ラウは警察に潜入したマフィア。
次第に芽生えていく正義の心。正しい道を生きていきたいが悪という現実が邪魔をする。過去は一生自分について回る。その消し去りたい真実に苦悩していく。ヤンと違い自分を偽り、完全に孤独である。その苦しみは、はかりしれない。こちらは救いようがない。

二人の潜入捜査の苦しみを無間地獄になぞらえたストーリー。
仏教用語などのテーマなんかを深読みしたりすると面白い。

無間地獄に足を踏み入れた二人の男達。
果たして彼らがそこから抜け出せる日は来るのだろうか。


この世は地獄とはよく言ったもので、自分たちはこの世界という無間地獄を日々耐え苦しみながら生きている。
長寿は無間地獄最大の苦しみなりとあるが、果たして本当なのだろうか。
死ねばこの苦しみから解放されるのだろうか。更なる苦しみが待ち受けてるのではないだろうか。
そんなことは、いくら考えたって答えは永遠に出てこない。
この苦しみと向き合いながら生きていくしかない。
だけどこの地獄にも良いことは少なからず存在する。
自分の場合は大好きな映画がそうである。これからもたくさん映画を観ていきたいし映画が観れるだけで幸せという単純人間なので少しでも長く生きていきたい。

必ずしも長寿が悪いことだとは思わない。いや、思いたくない。
ピッコロ

ピッコロ