涙

はなればなれにの涙のレビュー・感想・評価

はなればなれに(1964年製作の映画)
4.0
#はなればなれに
本筋のストーリーがあってないもので、アイコニックな物を切って貼ったような言葉や演出が楽しい映画だった。この映画でのアンナカリーナはいつもの溌剌な女性ではなく、どこか物憂げびくびくしている。田舎から来た世間知らずで、愛らしいが誰彼構わず愛する節操のなさが、彼女に降りかかる不条理を楽観的に見せてくれる。ゴダールの人間性を引き出すうまさに脱帽。色々目を引くシーンがあったが中でも地下鉄のシーンは私のお気に入り。愛しているのかと問いかけたり、アカペラで哀しい歌を歌ったり、詩を朗読するアンナカリーナが良い。悲しそうな男性を見て、みる側の想像力次第で優しい男や悪人に変わると言う言葉(曖昧)は首肯してしまう。
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