Genichiro

はなればなれにのGenichiroのレビュー・感想・評価

はなればなれに(1964年製作の映画)
4.3
10年ぶりの鑑賞、今回は寝ずにしっかり見れた。成長しました。60年代のゴダール作品は青春映画だな、良くも悪くも。若者たちがほとんどイタズラのように撮った映画が歴史の1ページとなる、そういうこともかつてありました。ヌーヴェルヴァーグ期の作品はヌーヴェルヴァーグ以前の映画を前提としているという当然のことを教えてくれる大人なんて周りにいなかったよ。ヌーヴェルヴァーグ以前の映画を見たことない人たくさんいるけど、そんな人がとりあえずゴダール見るかと思い立って『勝手にしやがれ』&『気狂いピエロ』2本立てを見てわかんねーってなるのとかほんとに不幸だと思う。自分もそうだったし。改めて今作を見ると、清々しいほど何もなくてびっくりする。見てるだけで体温下がってくる。プロットはまさしくパルプフィクションで、最低限のものしか映らない。今作が商業映画として成立しているのは映画という枠組み=前提に寄りかかっているからだ。今見ると引用まみれの『気狂いピエロ』の方がゴダールの「実」を感じるというのは不思議だ。愚かでせっかちで無計画でなぜか愛おしい。空虚な記号の砂漠をぐるぐる駆け回る。ここにはかつての若者たちの輝きが映し出されている。終盤悲劇のワンカット。そしてラストのユーモア。「マジソン・ダンスシーン」は永遠に美しい。
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