よどるふ

さようならCPのよどるふのレビュー・感想・評価

さようならCP(1972年製作の映画)
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タイトルにある“CP”とは、Cerebral Palsy(脳性麻痺)のこと。映画の序盤、脳性麻痺の男性がカメラを構えている様子を見ながら「ああ、写真を撮るのが趣味なんだな」と思っていたら、終盤でそんな軽い考えはひっくり返されることになる。

映画という、観る者に「スクリーンの向こう側で起こっていること」への“注視”を強いる媒体だからこそ、終盤における痛切な訴えに、より感じ入ることができた。「いまの自分は常に目の前にいる人と対等な立場に立つことができているか」と自問せずにはいられなくなる作品だ。

観る者に自問を促すのは、序盤の「なぜカンパをしましたか?」のシーンもそうだ。ぼんやりした感想になってしまうが、あそこのシーン、「分かんない」とやや笑いながら答える声がいくつかあって、その「分かんない」こそが、いろいろと考えを巡らせる糸口になる気がした。

序盤の「横断歩道を渡る」シーンが象徴する“大多数の規格”に合わない姿が印象的な分、劇中に何度か出てくる「公共交通機関を利用する」シーンが浮かび上がって見えてくる。そして本作のラストカットの強烈さも。当事者たちの“性”に関するあけっぴろげな話も忘れがたい。
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