やっぱりカルカン

ボディガードのやっぱりカルカンのネタバレレビュー・内容・結末

ボディガード(1992年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

【犬は2匹とも無事】
放送はテレビ東京 午後のロードショーで「ボディガード」は初見になります。最後はウルっときて泣いてしまいました。しかしよく分からないといえばよく分からない映画ですね…気になる所がいくつかありましたのでハードディスクレコーダーに録画していたNHKプレミアムシネマ(ノーカット版)を見直しながらレビューを書いていこうと思います。
ちなみに元々は130分、午後ロードの放送枠が2時間なので25分から30分ぐらいはカットされていたようです。

・登場人物が多い
これは個人的な問題なのですが、私は映画を見ながら人や動物の顔と名前を一致させるのが得意ではありません。この映画は登場人物がやや多いため途中で誰がどの名前だったか分からなくなってしまいました。
主人公のフランク・ファーマーでさえ、冒頭インターホンで「グレアム・ベル」と名乗った後、噴水の前で「エジソンだ」と名乗り白髪の女性には「ヘンリー・フォード」と名乗ったり(これらは屋敷の警備体制を探るためわざとやっているのですが)相手と場面によってはフランクと呼ばれたりファーマーと呼ばれたり、序盤は特に混乱しました。
ニッキーやトニーなどは途中でちょっとしたキャラクター掘り下げシーンがあったのですがそれもカットされていたので余計分かりにくかったです。
ニッキー→レイチェルの姉
フレッチャー→レイチェルの息子
ビル・ドゥベイニー(デヴァニー)→フランクに依頼して来た人
サイ・スペクター→フランクに反発するプレス担当の嫌な奴
トニー・シペリ→レイチェルに惚れてる元ボディガード
ヘンリー→人形爆弾で怪我した運転手
グレッグ・ポートマン→フランクの元同僚でレイチェルを殺そうとしてる
フォスター→フランクの実家の犬
ハーブ→フランクの父
余談ですが動物が好きなので、字幕で見ても吹き替えで見てもレイチェルの家で飼われているでっかい犬の名前が判明しなかった点は残念でした。諦めきれず英語の音声をよく聞いてみたところ「Bo」または「Bob」と言っていて、英語で検索してみたところ「Bo」とされているサイトが1件見つかりました。

・プレス担当のサイ
こいつは最初からずっと何を言ってるのか…空気が読めない奴なのかな?とにかく邪魔。愛すべきバカ的なそういうキャラなのだとは思いますが、意図が不明でストーリーの中で浮いていてただムカつくだけなのでもうちょっと出番を減らすかいっそのこと居なくてもよかったと思います。
最後血のついた「主演女優賞レイチェル・マロン」の紙を拾い上げてハンカチで拭いていたシーンのサイコぶりたるや、最早レイチェルき○がい。

・デート
今までずっとこの映画を、女性の大スターがボディガードの真面目で堅物な男性を好きになるけれど成就することなく悲しい別れになる話だと思っていました。まさか依頼人の女性と相思相愛になった挙句、致してしまうとは…それはいかんでしょ…まずそこで少しがっかり。
フランクは確かにカッコいいけど、一夜を共にした翌朝の態度は最悪だと思いました。ほんとにひどい…正直幻滅です。これまでに見てきた人物像が良かっただけにこの豹変ぶり、もうちょっと何とかならなかったのか…
フランクの人間味は少し抑えてもっとクールな男に描いてくれてもよかったのになと思います。
調べたところ黒沢映画は「用心棒」で、アタシは「シアター」の事みたいです。
宵闇に妖しく光る日本刀、鍔に施された細かい透かし模様と黒いレースの下着がコラボレーションしているシーンはエモかった!

・ポートマン
レイチェルを殺そうとしているのにレイチェルにキスして押し倒す。どうかしてる。2回目見た時に頭おかしいのかな?と思った。1回目はまだポートマンが犯人と知らなかったので、見終わった後に「あれどういう心理だったの!?」と混乱しました。
足はつきやすいかもしれませんが、殺そうと思えば毒殺とかで時間差になるようにしてあの時に殺すこともできたのでは…
ちなみにその後レイチェルはポートマンを拒絶してトニーを呼び、帰らせるのですがテレビ放送ではここがカットされていたため完全にレイチェルがあばずれになっていました。ひどい。

・調理場暴行事件
ムシャクシャするのは分かるけど、いくらなんでも大人げない…そこまでボコボコにする必要ないのに…必死に旦那さんを庇う奥さんが健気で胸がギュッとなりました。
しかもその後変態から不審な電話がかかって来たにもかかわらず、イライラしたフランクは「知るか!俺は降りる!」と無責任な発言。デートと暴行、この2つのくだりさえなければ……

・お金
フランクの同僚がしきりに大金やら儲かるやらお金の話をして来たのは何だったんでしょうか。そこはよくわかりませんでした。フランクがこの仕事をお金のためにやっているのか心の底からレイチェルを守りたくてやっているのか視聴者に反応を見せるため?

・足跡
白雪の足跡を見て危険を察知するシーン、軍人なら雪道で自分の足跡を消してから立ち去るのは基本だと思いますがシークレットサービス業界ではそういう訓練をしないものなんでしょうか。フランクもそうですが、ポートマンもそんなミスするか?というしょうもないヘマをちょこちょこやらかしてます。

・犯人
ポートマンは依頼主を知らなかったのでニッキーを殺してしまった。いや、知ってて殺したのかもしれませんが。それにしてもしつこいというか、なぜそこまで執着するのか動機がもう少し明らかだったら分かりやすかったのに…
フランクへの嫉妬(任務失敗させたい)説もありますがもうちょっとはっきり匂わせて欲しかったです。

・レイチェル激昂
ファーマー!世界中が見ているのにあんたのせいで恥をかいたわ!と突然激昂。今までに数回「一流」というワードが出ていましたが、まさに一流芸能人のレイチェル。フランク達のピリピリした空気が伝わってしまい本領を発揮できず周りに八つ当たりしてしまったんでしょう。心理的には調理場で喫煙していた男性をタコ殴りにしたフランクと似てますね。お互い一流でお互い似ているもの同士なのでこの後の結末に繋がってくる訳なんですが、まあどいつもこいつも器が小さいです。みんな精神的に不安定でイカれた奴らばっかり!

・レーザーサイト
レイチェルの顔にレーザーサイトの赤い光が!こんなに長時間ガッツリ当たってたら周りにバレるしテレビにも生中継されてるのに大丈夫なのでしょうか。もっと目立たないようにチラっとでもよかったのでは(笑)
無線は切ってるし照明のライトは眩しいし、ここは最高にハラハラするシーンですね。恐らく防弾チョッキを着ているのでもうちょっと左だったら腕を負傷することもなく、逆に良かったかも知れません。
最後すっかりわだかまりが解けて、トニーがフランクを完全に信用していたのがよかったです。ポートマンに果敢に向かって行き、目をやられてしまいましたが立派な働きをしたと思います。

時々わかりにくい描写がありました。テレビ放送ではかなりカットされていて、ノーカットで見た方が理解しやすかったのでよかったらソフトをレンタルするか配信などノーカット放送でお楽しみいただければと思います。
ちなみに手紙(脅迫状)、マスターベーション、人形爆弾などは全部勾留されていた金髪の犯人がやったみたいです。
所々ツッコミどころはあるものの、何年か後に放送されていたらまた見たいなと思う程度には面白かったです。