れーちゃん

リリイ・シュシュのすべてのれーちゃんのレビュー・感想・評価

リリイ・シュシュのすべて(2001年製作の映画)
4.0
14歳・15歳という一番気難しい年代の少年少女が経験する窃盗、いじめ、強姦、援助交際、死などの葛藤や苦しみを、この映画の核である「リリイシュシュ」が奏でる音楽と田園風景の美しさを交えながら描くことで「青春は美しくも儚くて切ない」ことを表現する素晴らしい作品。
またこの時代に流行し始めた「掲示板」というオンライン上の世界に彼らの心の中が投影されており、現実世界とリンクしていくことで作品全体の深みを出していた。

そのリアルな様子を胸が締め付けられるくらいはっきりと描いているので、胸糞悪かったという感想もたくさん見受けられるが、「青春は美しくも儚くて切ない」だけでなく、「苦しみや悲しみが自分を強くする様子も美しい」というメッセージにも感じ、個人的にはすごく心に残る作品となった。

ここまでひどくないとしても、誰もが一度は経験したことのある瞬間もあったのではないか。
過去に対する後悔やトラウマがいまだに残っている大人や、今、10代を生きる若者たちで同じような苦しみにもがく者もいるのではないだろうか?

全体的にスローペースな作品で、このシーンは何を意味していたの?と思う場面もあるかもしれないが、そういった場面こそ少年少女が送る言葉のないSOSだったりもする。
本作は見た人によって十人十色の受け取り方があるので、見終わった後に何を意味していたのか?深く考察してほしい。
れーちゃん

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