夢

リリイ・シュシュのすべての夢のレビュー・感想・評価

リリイ・シュシュのすべて(2001年製作の映画)
5.0
初めて観たのは、主人公たちと同じ中学の時だった。
あの頃は私自身、暗く、辛い沈んだ日々を過ごしていて、この映画の主人公たちの痛々しく生々しい苦しみや葛藤が自分と酷く重なった。きっとこの映画に出会わなければ私は生きていけなかっただろうと思うくらい、10代の頃の私はリリイに支えられていた。
あの頃は痛みを強く感じていた。
でも、大人になった今観ると、悲しみを強く感じる。
同じ音楽を聴き、似たような傷や痛み、葛藤を感じて、心はあんなにすぐそばにあったのに、何かが間違ってしまって、違う道を辿ることになってしまう。
それが悔しく悲しい。

それでも淡く儚げな映像や、ドビュッシーやリリイの音楽がこの映画の残酷さを尊く美しく感じさせる。

「リリイ・シュシュのすべて」はいつまでも私にとって宝物の映画だ。
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