みボ

真夜中のカーボーイのみボのレビュー・感想・評価

真夜中のカーボーイ(1969年製作の映画)
4.0
もう何年前になるのか考えたくもないけど、わたしが高校生だった頃に見て衝撃的だった映画。おぼろげにしか覚えてなかったので改めて見返してみたけど、相変わらず見終わってから涙が止まらなかった。

10代の頃見たときは、物語の終盤に差し掛かるまでなんだかボウっとしていて、その霞みがかった意識がラストにかけて急激にクリアになる、と記憶していたんだけど、その記憶のままだった。
どんよりと鬱屈したニューヨークの空気から一変するマイアミの晴れやかさ。景色が明るいだけに余計にあのラストは悲しい。

多くを語らない映画だけに想像する余地があるので、見終わった後に色々考えては余韻を長々と引きずってしまう。

ハッピーエンドになるふたりを色々と考えてる。
けど、もしハッピーエンドになる道筋を辿ったらあのふたりはあそこまで絆を深めなかっただろうし、そもそも出会いすらもしなかったんでは…と思うとめちゃくちゃ虚しい気持ちになる。
絶対ハッピーエンドはありえない、リコが浜辺を走る夢想ぐらいありえないことなんだけど、なんとかふたりには幸せになる未来があって欲しかった…。

ジョーという男はなにかしらのトラウマに苛まされていて、ふとした時に彼の中にある暴力性があらわになるんだけど、破壊に至る妄想はすれど実際はぐっと思いとどまっている。
普段ジョー本来の優しさで抑えられていたそんな暴力性が唯一あらわになるのが“リコのため”にゲイのおじさんからお金をむしり取る時なんだよね。
も〜〜〜めちゃくちゃ悲しい……。
どうにもならないほど追い詰められている状況の中ですら献身的にリコに尽くすジョーの優しさがめちゃくちゃ悲しい。不器用すぎる。

どうしようもなく悲しい結末を迎える予感がする男ふたりの絆って、どうしてこんなにも美しいんだ……。
みボ

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