とどろく叫びを耳にして、帰ってきたウルトラマン劇場版。
帰ってきたウルトラマンの劇場版は3作ありますが、どれも放映されたものの再編集版またはブローアップです。
劇場版第一作目の本作は第5話・第6話、グドンとツインテール回の再編集版となります。
当時、巨人の星やタイガーマスクなどのスポ根ブームがあり、新企画された「帰ってきたウルトラマン(新マン)」にもその要素が取り入れられました。
初代ウルトラマンやウルトラセブンでは、主人公やその周囲の人々にスポットのあたったドラマづくりはあまりされていないのですが、新マンでは主人公『郷秀樹』がMATに入隊し、鍛えられながら成長していく姿が描かれます。
特に序盤はその方向性が強く、そのせいか、とにかくMAT内の仲が悪いことで有名です。
本作の元である第5話・第6話は特に"仲が悪い"エピソードの強い作品で、そういう意味で、序盤の新マンを知るにはうってつけだと思います。
工事現場から貝の化石のついた石が出土する。
怪獣の卵ではないかと察知した次郎は、MATの郷に連絡、すぐさま郷は、先輩隊員の岸田と現地に向かいます。
岸田はただの岩石だと判断するのですが、念のため、岩石にMATシュートを放ちその場を去ろうとします。
だが、ウルトラマンと同化して強い五感を持つ郷の耳には、その岩石から鼓動音のような鳴動が聞こえ、もっと調べるべきだと岸田に詰め寄ります。
その後も、巨大怪獣グドンが現れ、岸田はMATアローでグドンを撃つよう合図を出すのですが、怪獣の近くに子供の姿が見えた郷は撃つことができずグドンを取り逃がします。
2度続いたことで岸田は怒り、郷は自分が間違ってないことを主張します。
結果として岩石は怪獣の卵で、結果として岸田は間違ってたことにはなるのですが、よもや工事現場から出土した岩石が怪獣の卵だなんてそれこそウルトラマンの能力を持っていないとその場で判断などできないんですよね。
また、怪獣の現場に現れた謎の少女も、最後まで本当にいたのかいなかったのか結論は描かれず、岸田の怒りも最もなところがあります。
そういった人間ドラマが序盤の魅力であり、第5話・第6話はドラマ部分が素晴らしい傑作です。
グドン、ツインテールのデザインも秀逸です。
夕日をバックにウルトラマンと二大怪獣が対峙するシーンは実に素晴らしい。
新マンを代表する一作ですね。