狂王キシリトールヴィヒ2世

キートンのセブン・チャンス/キートンの栃麺棒の狂王キシリトールヴィヒ2世のレビュー・感想・評価

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普通に笑えるところもかなりある。それ以上に喜びの感情で満たされる。なんかもう口角が上がりっぱなしになる。キートンはやっぱりすごい。人体は魔法であるという映画表現がぎちぎちにつめこまれまくってる。ある意味での定言命法というか車は猛スピードで走ることおしゃかになること自体を目的としてエンジンが点火される。映画の中で車は移動のために走り出す必要はない。キートンという存在はもちろんそこから笑いも生じるんだけどそれを超えた刹那的な動きそのものの快楽、感動の塊で映画の素晴らしさの体現者。ものすごくたくさんの人がいることのものすごくたくさんいる感じ、ものすごく素早く動いていることのものすごく素早い感じ。そういうのが本当に最高。差別的な描写に眉を顰めたくなるけどちょっとこの素晴らしさには抗えない。

デッドドントダイを観て息を引き取ってしまった同志がもしこの文章を読んでいたらサンローランのYouTubeチャンネルにあげられているジャームッシュの短編を観てジャームッシュへの信仰心を取り戻してほしい