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キートンのセブン・チャンス/キートンの栃麺棒のswozのレビュー・感想・評価

4.0
「人間」が見事に活写されている。主人公は欲望を促す装置として機能し、初めは規範の内側で彼を嘲笑う大衆を、躍動する身体によって規範の外へと誘う。そのような主人公の動きとリンクするように画面は活気を帯び始め、狂気の世界へと変貌し、狂気の世界のなかで主人公と大衆の関係性は逆転する。また、どのような状況でも感情を表さないキートンの「無表情」は、社会の規範性を宙吊りにし、人間の欲望そのものを可視化するといった「人間そのもの」を冷徹に映し出すいわば「第二のカメラ」とでも言うべき機能を果たしていると思う。バスター・キートンは天才!
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