もっぱらパーフェク斗

眠る男のもっぱらパーフェク斗のレビュー・感想・評価

眠る男(1996年製作の映画)
3.6
群馬県人口200万人記念映画というイントロダクションが最初に入る。1996年制作とは思えないほどに土着の文化や風習が残る山間部が舞台。幻想的な静けさで展開と呼べるものは一箇所しかない。武満徹の音楽に似た印象を受けた。断片的でストーリーもないに等しいので文字にできることは少ないのだが、ゴダールに近いかも。ゴダールが海ならば、海のない群馬で山に置き換えたような。タイトルの「眠る男」がストーリーのやんわりとした背骨になっているので、そこから離れると拠り所がなくなってしまい、不安に近い感情になる。なんとも抽象的な作品だが、この時代にこんな映画を撮っている人がいたということには驚く。そんな作風なので、当時は「観客が眠る男になる」だなんて悪評もあったみたいだが、今こそ再評価されるべき作品。