クリストフォルー

笑の大学のクリストフォルーのレビュー・感想・評価

笑の大学(2004年製作の映画)
2.5
生の舞台は観ていないが、テレビ放映された舞台録画(1996年、 西村雅彦・ 近藤芳正)は観ている。
舞台には、登場する役者以外にも重要なキャストがいる。言うまでもなく、観客のことだ。舞台上のリズムは、演者と観客、相互の呼吸によって作られる。舞台映像を観るときも、映っていない観客の反応を感じながら、LIVEの雰囲気に近づいてゆくことができる。
舞台と映画は別物だとしても、舞台劇の熱を伝える工夫は必要だろう。
冒頭の喜劇を観ている観客たちの姿や、戦中の浅草の通りの情景描写など、意図は分かるが、時代やその変化を十分に伝える画は作れていない。へたに映画を意識せず、テレビドラマのレベルで作り込んだ方が良かった気がする。
映画の強みは、手元や表情などのアップや、思い切った引きの画が使えることだが、ハンコを押すシーンや、警官役を演じるシーンなどでしか効果を上げていなかった。役所や稲垣なら舞台的な熱演が出来たはずだし、せっかくの 高橋昌也(廊下の制服警官)や 小松政夫(青空寛太 )の起用がもったいない。
『巌流島(1996)』の舞台録画も観ているが、ああいう面白さは、所詮映画化できないだろうなと、あらためて思う。
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