17世紀フランドルを舞台とする風刺喜劇で、圧巻のコスチューム・プレイに仕上がっている。
全編絵画を切り取ったような再現度で、かなり見応えがあった。
ハプスブルク家治世のフランドル地方のある街で、スペイン軍隊がやってくると聞いた人々の混乱を描いており「略奪と凌辱を犯す侵略者スペイン軍」というイメージに男たちは怯えて武装し、市長に至っては死んだふりまでする。女性たちは死を覚悟してスペイン兵たちを歓待するが、スペイン人たちは皆が紳士的で、聞いていた話と全く違っていたというコメディで、ストーリーも面白い。
スペイン軍に特別な地位を与えられた小人症の男が一人登場するが、これは実際に当時のスペイン・ハプスブルク家が「矮人」を特別視していた史実とも合致する。
彼らは「慰めの人々」と呼ばれ、王家の威厳や高貴さの引き立て役として、宮廷絵画などにも描かれている。
ブリューゲルやベラスケス、ヴァン・ダイクの絵画に描かれていてもおかしくないぐらいの世界観を構築しており、これをカラーで鑑賞できたらと、惜しい気もする。