石井ぴょん吉

アトミック・カフェの石井ぴょん吉のレビュー・感想・評価

アトミック・カフェ(1982年製作の映画)
-
原爆関連の実際の映像、放送、政府のプロパガンダ映画などを繋ぎ合わせて、一切ナレーション無しで作られたドキュメンタリー映画。

他にどんな資料をひっくり返しても観ることができない映像がたくさんあった。

心を引き裂かれるような思いがしたけど、広島・長崎の原爆の実際の映像、ニューメキシコの核実験、ビキニ沖の実験、第五福竜丸の実際の映像が見られた。

豚を使った原爆実験、実際に兵士を投入して間近で原爆を爆発させた実験の映像も見られた。
衝撃は、爆風、爆縮まで鮮明に映像で見られる。森の葉が一気に消え去って、幹だけになったきが外側に傾いて、直後内側に傾く映像が印象的だった。
この映像の家屋が吹き飛ぶ様子は、『風が吹くとき』で完全にトレースされていた。
飛行機に乗せられていく『ファット・マン』の映像を見た。長崎で9万人の命を奪った爆弾が、上半身裸の作業員達に笑顔で乗せられていった。

衝撃的だったのは、冷戦に向けて核開発競争が起きている時の、政府のプロパガンダ。「放射能は一時あなたを禿げにしますが、すぐに元通りになります」「放射能による健康被害は見られません。被爆した南国の島の人々は健康そうに見えます」というのを国民に流していた。

『duck and cover!』というキャッチフレーズで、カメのマスコットキャラクターが核爆弾が落ちたときの対処を説明している。机の下に隠れよう!コートの中に身体を隠そう!

今後一生忘れないと感じたのは、2つのインタビュー。

広島に原爆を落とした成果を喜び、長崎に原爆を落とす直前の、トルーマン大統領のテレビ放送での演説「日本の戦意を叩き潰すまで使います。日本が降伏するまで使います。神に感謝します、それが敵の手に渡らなかったことを。皆さん神の導きで神のご趣旨に沿うよう使っていきましょう」

長崎に原爆を落としたb29『ボックスカー』のパイロット。広島作戦では追跡機を担当して、長崎作戦で、実際に原爆を落とした人物が、インタビューで実際に答えている映像。
「雲が晴れて長崎は写真のように綺麗でした。そこに向かって爆弾を落としました。最高に興奮しました」

この映画は忘れられないと思う。
石井ぴょん吉

石井ぴょん吉