似太郎

悪魔の人形の似太郎のレビュー・感想・評価

悪魔の人形(1936年製作の映画)
5.0
【ババアの復讐劇👵】

『フリークス/怪物団』の鬼才ブラウニング監督とハリウッドの異端児エリッヒ・フォン・シュトロハイムが脚本を担当して作り上げた珍味・SFホラーの傑作。配給はMGM。

トッド・ブラウニング監督のサイレント期に於ける『三人』のセルフリメークらしい。(私は未見)

どこか貴族的なオーラを放つ名優ライオネル・バリモアが扮する変装バアさん👵が、怖いんだけどどこか滑稽なキャラ造形で出色。初期ヒッチコック作品にも通じるお茶目さがある。

人間や動物を1/6に縮小させるマッド・サイエンティストの計画を引き継いで次々と自分を裏切った銀行家に復讐を果たしていく主人公ラヴォンの粘ちっこさが、ちょっと自分と似ていて感情移入してしまう。

もはや「飄々」を通り越して「間抜け」の領域であり、ゲラゲラ笑いが止まらない。

縮小人間の動きや合成シーンが特筆モノで、一度観たら脳裏にこびりつく夢魔的映像美に仕上がっている。モーリン・オサリバン演じる主人公の娘とのエッフェル塔での再会シーンがエモーショナルで、ラストシーンの「別れ」が感涙モノの素晴らしさ。🌙🗼

主人公の「人生最高の日だ」の台詞で締めくくる潔さとダンディズムは只事ではなく、異端監督✖️異端脚本家が作り上げた贅沢なB級映画としてこれほど盛り上がる映画は滅多にない。まさに掘り出し物。

知名度の低い作品だが、良く練られたストーリーテリングで「娯楽映画のお手本」みたいな完成度の高さ。摩訶不思議な映像体験をしたい貴方には是非ともお勧めのファンタジックな逸品。🤡🧸
似太郎

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