うめ

仮面/ペルソナのうめのレビュー・感想・評価

仮面/ペルソナ(1967年製作の映画)
3.5
 スウェーデンの巨匠、イングマール・ベルイマン監督作。いくつか名作はあれど、まさか自分が最初に観る作品がこの作品だとは思ってもみなかった。

 今作は、意図的に喋ることを放棄した女優エリザベットと彼女を世話する看護師アルマによる日々を綴ったものである。綴ったといっても、エリザベットは喋らないのでアルマが一方的に喋るし、現実か幻想か不明確なシーンも多々あるので、これといった一本のストーリーがあるわけではない。そのため、一瞬混乱するシーンや台詞があるのだが、一つ一つが示唆に富んでいるので興味深い。大多数の映画とは違う見方をする映画の一つだ。普段、映画を観るときとは違う、脳のある部分を使っているような…。こういう映画も嫌いじゃない。

 では、何が示唆されているのかという話だが…観賞後、今作に関するとある批評を読んでしまったら、そこにこれまた的確に既述がなされているので、私が書き残すことはないなぁと(笑)まぁ、今作は何の情報も先入観もなしに観て、個々人が色々感じるほうがよいジャンルの作品だと思われるし、ベルイマンの意図もそこにあるような気がする。

 ちなみに(ある程度の方はご存知かと思いますが)原題の「ペルソナ」はラテン語で、意味は「仮面」。「ペルソナ」は英語のパーソン(人物)の語源でもある。このことも本作の意図していることと大きく関係していると思う。上映時間は短いが、久々にぎゅっと濃い作品を観ることができた。

 評価の星に関しては、私がまだまだこの作品を消化し切れていないので、(安易に高評価をつけるのもあれなので)私の基準点の3.5としています。
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