R

007 スカイフォールのRのレビュー・感想・評価

007 スカイフォール(2012年製作の映画)
3.8
自宅テレビで友人2人と鑑賞。

殺しのライセンス、「007」の称号を持つ男、ジェームズ・ボンド(ダニエル・クレイグ「ドリームハウス」)は新人女性エージェント、イブ(ナオミ・ハリス「パイレーツ・オブ・カリビアン デッドマンズ・チェスト」)と共に奪われたハードディスクを取り戻す任務にあたっていた。
しかし、その途中、Mの指令でイブが発砲した銃弾がボンドに当たり、峡谷に落下してしまう。
数ヶ月後、ボンドは死亡と見なされる中、何者かがMのパソコンに侵入後、MI6本部が爆破されてしまう。

※ネタバレしてます

「スペクター」発売記念、シリーズ第3作!!

監督は「レボリューショナリーロード」のサム・メンデス。

シリーズ中、最も評価の高いこの作品。

やはり、「ボンド映画史上最も美しい作品」と言われているだけあって全編に渡り撮影監督ロジャー・ディーキンスの技が光る!!

本当一瞬一瞬のシーンが洗練されていて引き込まれる。

そして、湖に落ちるボンドからのオープニングのアデルが歌う「スカイフォール」の入りも抜群!!

な、なんてオシャンティーなんだ…。

もう冒頭からものすごい吸引力のある作品なんだが、今作では内容もなかなかに攻めている。

まず、今までのボンド映画では主要キャラがMぐらいだったが、往年の「007」映画からQとマネーペニーも登場!

また、今までのキャラ造形から離れ、新たなキャラクター像を作り上げた点も興味深い。

この辺りは最終的な着地といい、ノーラン版バットマンを彷彿とする(キャラの新構築という点で。)

あと、今作では悪役もなかなかに凶悪!!演じるのはハビエル・バルデム。前作のミスター・グリーンには若干の物足りなさを感じたのだが、今作のシルヴァはバルデムが自身の顔面力と相反して冷徹冷酷な元工作員を嬉々として演じているので「ノーカントリー」の殺し屋シガーに匹敵するくらいすげぇ怖い(後々の顔に関する件を含めて)

1作目のマッツ、2作目のマチュー、3作目のハビエル、そして「スペクター」のヴァルツ。こうして振り返ると個性派、演技派が揃いも揃ってその顔面力を120パーセント発揮しながらもそれぞれ魅力ある悪役像を作り上げていて、面白い。これは演じる側もやりがいあるだろうなぁ。

その反面、今作のボンドガールはロマンスも少なめでその内の1人は結構呆気なく退場してしまう。

ただ、今作におけるボンドガールはイブとエヴリンを含め真の意味でもう1人いる。

そう、それは今までボンドの上司として確固たる存在として君臨していたジュディ・デンチ演じるMだ。

過去2作では時に組織の問題児であるボンドを叱咤し、時に立場的に危うくなるボンドを守るまさに「Mother」的存在であったMが後半のキーパーソンになる。

今までかなりキツ目のおばあちゃんて感じだったMが一転して守られる存在となると威厳という鎧が崩れ落ち、か弱い存在に見えるから不思議だ。

そして、このMとの別れによって、真の意味で「007」ジェームズ・ボンドが完成した瞬間なのだろう。

この古典的スパイ映画において、ボンドという1人の男の自立を描ききった点で今作が名作だと言われる所以が改めて知ることが出来た。
R

R