GON

ニュー・シネマ・パラダイスのGONのレビュー・感想・評価

4.0
【2021/4/29 再鑑賞】
なぜか泣いた

【2020/11/8 初鑑賞】
“映画館=パラダイス”

映画全盛期から何十年もたった現在、映画という娯楽は死んだのか?


この作品には2つの見方がある。
1つは”家族や恋愛、映画への愛を描いたヒューマンドラマ”。
もう1つは”映画産業消滅への警告”だ。

まず1つ目のヒューマンドラマについて。
正直、この映画は別に完成度が高いわけじゃない。てか、途中まで退屈感さえ覚えるほど。
でもその退屈さを覆す感動のラストシーンとエンニオ・モリコーネの音楽が、この作品を映画史上屈指の大名作に押し上げたんだと思う。
ただあのラストシーン、僕も感動はしたけど解釈の仕方がイマイチわからん… てことで色々解説サイトでググってみた。

簡単に言うとどうやら、あのキスシーンフィルムはアルフレードとトトの友情を意味するものがあったらしい。
アルフレードが幼少期のトトと交わした、「このキスシーンのフィルムは君にあげるけど管理は俺がする」という約束。その約束をアルフレードは覚えていたらしく、どうやらあの時嘘をついてトトを映写室から追い出したのではなく、そのフィルムを自分の死期の予感から管理しきれなくなると思い、トトの母親へフィルムを託したのだとか(トトはそのフィルムを見てどう解釈したのかは知らないけど)。
他にも違う考察が山ほどあったので、多分あのシーンの解釈は個人個人の想像に任せてるんだと思う。


そして2つ目、映画産業の衰退。
昔は 映画鑑賞=Let's go映画館
今は 映画鑑賞=VOD

娯楽っていうのは時代と共に常に変わっていくものだけど、この状況はどうなんだろう?
もちろんVODはPC、スマホ、テレビをつければソッコーで映画を観れる便利なサービスだけど、それに応じて各地の映画館が潰れる→映画産業の衰退に繋がってる気がする。
この作品に出てくる映画館は連日満席で、客が外にも溢れかえるくらいの大繁盛だったけど、今はもうそんな状況はほぼ見られなくなってる。都会でも洋画のシリーズ超大作とか邦画アニメじゃないと満席にならない状況。これって個人的にまずいのではないかと…
映画館には家にある設備じゃ作り出せないスクリーンの大きさ、音響設備、そして独特の空気がある。あれには何にも代えがたい特別な体験ができると思ってる。
映画館のみならず、映画というひとつの娯楽の価値観について深く考えさせられる作品だった。

とりあえず鬼滅好きのキッズ達、劇場版が公開されてる今こそ映画館の素晴らしさを味わってくれ!
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