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海底軍艦のmitakosamaのレビュー・感想・評価

海底軍艦(1963年製作の映画)
3.6
格好良いなぁ、轟天号!前時代的な軍艦のイメージを残しながらも流線的で空想科学的妄想を掻き立てるフォルム。そして先端にドリル。文句ないね。
あと、何より田崎潤演じる神宮寺大佐でしょう。早口でまくしたてる頑固で意固地なキャラが本当に似合う。氏の一番のハマり役だと思うわ。
地上侵略を開始したムー帝国がまた輪をかけて前時代的。古代からの侵略に迎え撃つ兵器が、太平洋戦争後に南海の孤島で作られた海底軍艦。
「ムー帝国打倒の為に海底軍艦で戦ってくれ」「嫌です!日本再建の為に作った戦艦です」「日本は戦争に負けて平和国家になったんだ」「そんな世界もつくりなおします!」
この分からず屋っぷり!最高!この、あー焦れったい感が今作で一番楽しいね。

しかし、ムー帝国が凄いんだか凄くないんだか、さっぱりわからん。高度な文明を持ってる癖に格好は古代の民族衣装みたいので、槍とかもってる。
このムー帝国の強さがまるで伝わらないのが如何ともしがたい。というか、全て神宮寺が持っていっちゃってる。
ムーの女帝もいいキャラなんだけどなー。もっと活躍させて欲しかった。
とにかく神宮寺で引っ張られちゃったから轟天号がムー帝国に突撃するシーンとかも案外アッサリしてるんだよね。マンダも簡単にやられちゃう。
中盤まで焦らされたから轟天号の無双っぷりが爽快だともいえるけど、もうちょっと戦闘シーンは欲しかったかな。

とはいえ、怪獣物と戦記物の特撮映画の融合はそれだけでも貴重だね。
この時代は、戦後20年で当時の日本人からも戦争が過去の記憶になったわけで、戦中の思想も過去の物となっているのがよくわかる。
一方で戦地を知っている世代も多かっただろうし、この時代の人々がこの作品をどういう思いで作り、観たのか?とても気になるね。
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