Chico

ビフォア・サンセットのChicoのレビュー・感想・評価

ビフォア・サンセット(2004年製作の映画)
4.5
初夏にみたくなる映画

Beforeシリーズ1-3の第2弾です。Before
Sunriseから9年の時を経て同じ製作陣で作られています。(Before Sunriseを観ればさらに楽しめる、前後逆でもいいと思う)

9年後再会したジェシーとセリーヌがパリの街なかを歩きながらおしゃべりし、夕暮れを向かえるまでのお話。

映画冒頭、作家ジェシーは書店のトークイベントで自身の書いた小説についての質問を受けます。

「この小説は自伝的なものか」という質問に対し、トマス・ウルフの「人間は人生の瞬間の積み重ねでできている。物書きは自分の人生から逃れられない」という文章を引いてジェシーは返答をします。どんな小説も作家の目を通して書く限り自伝的な要素を含んでいる。そして、続けてこう言います。

「僕の人生は客観的に見ると平凡そのものだ。銃や暴力、政治的陰謀といったものにまったく無縁だし、ヘリの墜落も経験していない。だけど、僕の主観で見れば、充分 ドラマチックなんです。」

このシーンが言わんとするところを、二人は歩きながら語りあうのですが、鑑賞者も恋愛や人生についてどこかしら重ね合わせ、思い巡らせることができる映画だと思います。なんといってもラストシーンが最高。(自分の中の名エンディングムービー上位。)

Before Sunsetは20代の半ばに何回も観ているので今更客観的に見るのはむずかしいけど、今回歩いているシーンに臨場感が少ないな、と感じた。つい最近観た、同じく街なかを歩く映画、ゲリンの「シルビアのいる街で」にみられるような 「動」や「空気感」がこの映画にはあまりない。シーンの切り替わりが少ないのも理由かもしれないです。(実際撮影は10か所らしい)

とはいえ素敵な映画なのは変わりない

余談: 以前は映画の中の彼らをシニカルだなって思ってたけど、今観ると腑に落ちる部分もあって、彼らの気持ちにすっと入っていけた。時を経て自分の恋愛観や人生観が変ってることに驚いたし、人生を映す鏡みたいな、共にあるような、そんな映画になってきている。また何年後かに観るかもしれない。

今回、フォローしてる方のレビューを目にして、タイミングも合ったので鑑賞。
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