彼らは豪奢な空間の中で駆け落ち前の堂々めぐりを繰り返し、一向に話が展開しないのに、なぜか苛立ちもなく最後まで他人の夢を覗いているような不思議な気分で観た。
認知症の者同士が話しているのか?と思うほど、記憶の曖昧な会話の反復。
華美な衣装も豪華な空間も難解な台詞も、全てが過剰なぶんモノクロなことに救われた。衣装が素敵だったのでカラーで見たい気もするけれど、もし全編カラーだったらと思うとぞっとする……数時間しか着ないのにめちゃくちゃ時間をかけて縫い上げたドレスのような、とにかく贅沢な映画。
同じような会話が繰り返されるので頭の中でディクテーションできて、フランス語の学習にも良いなあとぼんやり思った
(よく寝たけれどタルコフスキーのノスタルジアよりは起きてたと思う)