Ayako

ディス・イズ・イングランドのAyakoのレビュー・感想・評価

4.0
映画を見てなんだろうな?と思って調べて、今まで知らなかった事や気づかなかった事や考えたことなかった事に気づいてもう一回見るのが好き。

60年代後半〜、モッズと双極をなすスキンヘッズの話。労働者階級としてカルチャーの一端をなしていたけど、世界大戦、サッチャー政権の市場への政府介入など新自由主義(失業率は最悪になるという時代)を背景にして反社会的存在に。一方、フォークランド戦争が政府によって始まり愛国主義を鼓舞されていくチグハグな存在になる。

政府=国なのか?国民=国なのか?自分は何なのか?自分の不遇を反社会的行為で政府や周囲に叫び、自分の不足を嘆く姿、道を見失っていき精神的にも経済的にも社会立場的にも追い詰められる姿は目を背けたくなる。”This is England”と言えるものは何なのか?政策や世情と切り離せない人々、巻き込まれ施しから漏れてしまう人々の姿に「こうはなりたくない」とつい思ってしまうし、自分が自分として生きるということの難しさや曖昧さに打ちのめされてしまうなぁ。一目でわかるファッションも、見始めた頃はソリッドで格好いいと思ってたけど、見続けるうちに世間への当てつけや、自虐的なものに思えてしまう。

本当にこのタイトルは皮肉が効いてて、内容にぴったり。Englandはどんな単語にも置き換えられる。
Ayako

Ayako