はちべえ

ウィズのはちべえのネタバレレビュー・内容・結末

ウィズ(1978年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

歴史がないアメリカという国で生まれた『オズの魔法使い』という童話は、成立した時代が現代と近いがために、現代の問題と接続される。

『オズの魔法使い』をベースにした『ウィキッド』はまさにアメリカの人種問題が織り込まれた作品だった。そしてこの『ザ・ウィズ』もまた人種問題と接続されている。

・家族=自らのルーツを否定するドロシー
●自己を肯定する=自らのアイデンティティを肯定する
●出発点と目的地を線で結ばないタクシー=過去と今が独立したものとして考えられてしまう→自らのアイデンティティを知る
・壁にグラフィティとして固定された住民たち
・鼻の高い"カラス"に騙される鼻の潰れた"かかし"
・荒廃した遊園地=人間動物園で出会う"ブリキの人形"
・ジャングルからやってきた"ライオン"
・WTCからの指示に従うエメラルドシティの住民たち
・売春婦のグループであるポピーガールズ
・操り人形を持つ人形師→ロールを固定する者
・地下鉄=労働者の空間で襲われるドロシー一行
●イブリーンは自らを嫌悪しているのだ!奴隷には肌を全て覆い隠す作業服を着せ、空飛ぶ猿たちは臭いものとして嫌悪する→作業服を脱ぎ踊るシーンはこの自己嫌悪を克服している

良い魔女グリンダは『ストーミーウェザー』のレナ・ホーンが演じていたのも興味深く感じられた。『ストーミーウェザー』は黒人だけがキャスティングされたミュージカル映画だったからだ。『ストーミーウェザー』から『ザ・ウィズ』まで35年、アメリカでは確かに黒人の立場は向上した。その過程を無視することは決してできず、それが自らの中にHome=ルーツを認めるということなのだ。