FumiKawaguchi

オペラの怪人のFumiKawaguchiのネタバレレビュー・内容・結末

オペラの怪人(1943年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

『オペラ座の怪人 』より遥か前、1943年の作品。同じ原作をモチーフにしているが、これはホラーという位置づけになっている。でも私が見た感じでは、「ホラー」という印象は薄いような気がする。『オペラの怪人』はこの他にも何度となく映画化されているらしいのでぜひ全部観てみたいと思っているが、なかなか手に入らないのが難点。当時、アカデミー撮影賞(W・ハワード・グリーン、ハル・モーア)及び室内装置賞に輝いた映画ということだが、セットがすごい!!最新の『オペラ座の怪人』は細部にCGを駆使しているのでそういう観点で言えば、このセットの凄さには目を見張るものがある。オペラのシーンも本格的で、そういう点でも惹きつけられる作品だ。最新作のクリスティーナの歌声は可愛らしいけどオペラっぽくない。でもこの作品のクリスティーナはコロコロと転がる声がステキ!!吹き替えなのか本人が歌ってるのかはよく分からないんだけどね。オペラ座のバイオリニスト、クローダンは、娘のクリスティーナをプリマドンナにするため、毎月高額なレッスン代を払っている。でもクリスティーナは父の存在を知らず、のん気に暮らしてる。だいたいこの時点で、自分がなぜレッスンを受けられているのか不思議に思わないクリスティーナに腹が立つんですけど…。クローダンは指を痛め、オペラ座をクビになり売り込みに行った協奏曲の盗作騒ぎから人を殺めてしまうんだけど、そのときに硫酸をかけられ、顔をつぶされてしまい、オペラ座の地下へと逃げ込み、そのまま住み着いてしまう。そして娘をプリマにさせるべく、次々と人を殺めていくクローダン。人々からは『オペラの怪人』と恐れられる。クライマックスでクリスティーナに「自分の娘」と告げているのにクリスティーナときたら「よく知らないけど、かわいそうな人」みたいに他人事だし、なんなんだよ。この女は!?って感じ。「同じ土地の出身」で片付けられてる父の立場って…(゚Д゚;)しかも念願のプリマになれたらスター気取り。オイオイ。自分の父が自分のために人をたくさん殺してしまったことも、レッスン代を払うために毎日スープだけで過ごした父の恩義も何も知らず存ぜぬでスター気取りですか。もう少しクローダンの心理描写があれば良かったんだけどなぁ。でも彼はどんな娘であろうと、プリマになってくれて嬉しいんでしょうね。ブツブツ言いつつも、時間いっぱい惹き込まれる結構面白い作品でした。ララバイのピアノを舞台で弾いているのはリストって設定なんですが、私にはどうしてもアインシュタインに見えます(笑)
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