Jeffrey

バタアシ金魚のJeffreyのレビュー・感想・評価

バタアシ金魚(1990年製作の映画)
3.5
「バタアシ金魚」

本作は今は懐かしい配給会社シネセゾンが協力したもので、撮影当時十七歳の高岡早紀、本作が俳優デビューとなった筒井道隆。今なら第一線でかつやくし続ける二人の若き日の瑞々しい演技が不滅の輝きを放っているとされる本作が、この度国内で初BD化され購入して久々に鑑賞した。数々の映画賞に輝く伝説の青春映画として名の通った本作は、一九八五年から連載された原作で、その圧倒的なパワーで壮大な支持を集めた望月峯太郎の人気漫画。監督は、本作で劇場用映画デビューを果たし、後に数々の傑作を世に送り出すことになる松岡錠司。今なお語り継がれる伝説の青春映画がHDリマスターで鮮やかに蘇り、第六十四回キネマ旬報では新人男優賞受賞し、横浜映画祭、そしてブルーリボン、アカデミー賞、様々な映画祭で絶賛を浴びた日本映画である。

さて、物語はある日の放課後、カオルとプールサイドのソノコに一目惚れ。金槌のくせに早速、水泳部に入部。ソノコの都合も考えず、凄まじく圧倒的なパワーでアタックを開始。よせばいいのに、ソノコ君との愛のためにオリンピック出場を決意したカオルは、首から金メダルをぶら下げた変なババアをコーチにスイミングクラブに通い、猛特訓を始める…と簡単に説明するとこんな感じで、オープニングの静寂な水面に浸かる人間の後ろ姿のショットが余韻を残しながら、次のカットで一人の青年が学校の教室の窓ガラスから頭を出して寝ているクローズアップがこれまた印象的。そこから学園内が描写され物語が展開していく。この作品は一九九〇年製作なので自分が生まれる一年前で、やはり九〇年代の学園映画の雰囲気はすごく好きだ。それにしても若き日の浅野忠信が出てくるのに驚いた。当初見た時全然気にしてなかった。あの丸坊主で赤いTシャツ着てランニングしている先頭にいるのが浅野忠信で、なんだか初々しいなぁ。めちゃ可愛らしい。にしても一人の少女に恋するところから始まる無邪気な少年の青春映画としては凄く風変わりだなと思う。
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