荒野の狼

バタアシ金魚の荒野の狼のレビュー・感想・評価

バタアシ金魚(1990年製作の映画)
4.5
『イントロは プールに飛び込む 水の音』(字余り)で始まり、
それから続く様々な素材音の、どう見ても意図的な連発(例えば構内を走る上履きの音やざわめき、サッシを開ける音、黒板拭きをはたく音、フェンスをよじ登る音、バケツの水をかける音、ジェット音、バイクの排気音、ひぐらしや鳥の声、エトセトラ、エトセトラ)を繰り出し、これはなんかありそうだぞ、と大いに期待させるこの映画は、驚く事にヒゲが無いだけで今と全く変わらぬ浅野忠信を見る映画。ではなくてwww、(魔性を経て、今じゃ普通のグラビアおばさんになってしまったが)駆け出しの高岡早紀の一重(ひとえ)と言うか奥二重(おくぶたえ)に、いきなり持っていかれるヴィジュアルムービーである。昭和真っ盛りの女の子や男の子に感じる萌え度は、断然今より高密度だったなあ。不快さを感じない俳優達のこの下手演技の「素の材としての」清々しさは単に若さなのか、とも思えない。つまり今の青春映画に無いものがこれ(素材を活かす技)なんである。と思う。今をリセットするために、古いアルバムを繰(く)るごとく時々開いて見て観たい、ここにはいい思い出だけが貼ってある。SE豊富な反面、最小限のセリフ回しもアルバム写真的である。
『バタアシ金魚』とは、なかなか軽妙なタイトルだが、多分これは『ランブルフィッシュ』のパクリだろう。
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