オガワ

春のソナタのオガワのレビュー・感想・評価

春のソナタ(1989年製作の映画)
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ナターシャ!?ロシア系やん!!

ロメールの「四季の物語」?。でしたっけ。の第一作目。
まあわかりやすいほどにロメール調。ずっと役者がしゃべってる。字幕じゃ理解が追い付かないスピードで小難しい話を延々と。結局いつも恋愛の話なのに。

『友達の恋人』なんかが分かりやすいですが、この人は結構色、特に青と緑に気を使いますよね。まあポスターアートワークからそうなんですが、本作もそういった色使いが特徴的で、映像としてとても綺麗です。

基本会話劇なので、劇中の状況や設定を把握するのが少し難しいのはいつものことなのですが、その話し方や表情の機微ですれ違いを起こし、登場人物たちが疑心暗鬼になっていく様を描くのは相変わらず上手いなと。特に終盤のジャンヌと、名前忘れちゃったんですけどナターシャの父とのダイアローグシーンは見事でしたね。これぞロングショットの使い方のお手本といった感じでした。
これもお決まりですが、ややこしくならないように登場人物を限定したのも良かったですね。

ただなあ、4人で喧嘩するシーン。
「あなたまで怒ったら冷静な人がいなくなっちゃう!」
ナターシャのセリフです。一見面白いのですが、上述のダイアローグシーンでちゃんと効いてくる重要なセリフです。つまり、一見常に冷静でいるように見えるジャンヌも怒りに身を任せることはあり、件の喧嘩の際にはまさにその寸前までいった。しかしナターシャのこのセリフで、まあ解釈はいろいろあると思いますが、要は冷めてしまった。
うん大事なんだよ確かに。ただこのセリフだと完全に第三者、もっと言えば作家の意思が完全に介入しているように感じられる。まるで会話の流れ、映画の流れに完全にレールが敷かれているかのように。
これは会話におけるアドリブにこそ、その重きを置くロメールの作風と大きく矛盾するんですよね。大事なセリフだからこそもっと気の利いた言い回しをしてほしかった。少し穿った見方かもしれないんですけど、ここは少し残念でしたね。


あとちょっと意外だったこと。めちゃくちゃハッピーエンドやん。
オガワ

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