坂本くろみ

サタデー・ナイト・フィーバーの坂本くろみのネタバレレビュー・内容・結末

4.9

このレビューはネタバレを含みます

初視聴年:2022
一般イメージに反して暗いテーマの映画だということは知っていたけど、こちらの予想以上に重たい作品で非常に刺さりついた。作中で何一つ良いことが起こらないのがとにかく悲しい。

主人公がただ無軌道にディスコの世界だけで生きている若者のイメージそのものじゃなくて、定職に就いて時々ガス抜きをしている歳の割にかなり真っ当な人間ではあるのに、家族から認められないのが辛い。
貧しさと閉塞感を描いた作品は数あれども、その残酷さをこれ以上に表現しているものは思いつかない。まさか努力も結果に納得すらもさせてもらえないとは…。

けれども最後の最後に人生を一歩踏み出すきっかけになるのが、作中ずっといけすかない雰囲気のヒロインなのはそうそう描ける話ではないと思った。
等身大で生きていても報われないけど、それでも地に足をつけて生きることを描ききるというのは、並大抵のことではできないよなあ…。