福福吉吉

評決のときの福福吉吉のレビュー・感想・評価

評決のとき(1996年製作の映画)
3.5
◆あらすじ◆
ミシシッピー州の町で10歳の黒人少女が2人の白人青年に強姦され負傷する事件が発生する。父のカール・リーは娘の姿に悲しみ、また、過去に白人が黒人少女をレイプして無罪になった例もあったことから裁判所でその犯人たちを射殺する。新米弁護士のジェイクはカールの弁護を引き受けるが、状況は圧倒的に不利であった。また、ジェイクやその関係者への白人からの中傷や嫌がらせを受けるようになる。そんな中、法律に詳しい大学生のエレンがジェイクを助けようとする。

◆感想◆
人種差別が色濃く残る町で起こった黒人少女強姦致傷事件とその少女の父が起こした犯人射殺事件における法廷劇と人種差別の実態を描いた作品であり、法廷劇が軸としながら、そこへ様々な妨害を仕掛けてくる白人至上主義者たちの卑劣さ、それによって被害を受ける人々の心情などが絡んた重厚なドラマとなっていました。

10歳の黒人少女の強姦致傷について直接的な映像は無いものの、観ていてとても痛々しく、心に突き刺さるものがありました。犯人の白人青年2人に対して憤りを覚えたので、父のカール・リー(サミュエル・L・ジャクソン)が犯人を射殺したときは気持ちがスッキリしました。

そこからカールと縁のあったジェイク(マシュー・マコノヒー)がカールの弁護を引き受けます。外見からなのかジェイクが妙に軽く考えているように見えて、最初のうちは感情移入しにくかったです。また、ジェイクに少なからず野心があったのも事実で状況の重さと理解していないように見えました。

そして、ジェイクの裁判に父が有名弁護士の女子大生のエレン(サンドラ・ブロック)が助っ人を買って出ます。彼女には快活さがあって重くなりがちなストーリーを明るくしてくれる存在としてとても活きていたと思います。

本作では白人至上主義団体のクー・クラックス・クラン(KKK)がジェイクたちへの攻撃を仕掛けてきて、それはとても卑劣で重大なものでした。暴行、放火、爆弾テロなどその卑劣さに腹立たしくて仕方なかったです。本作ではカールに殺された青年の弟のフレディがKKKを立ち上げて行動を起こすのですが、キーファ・サザーランドが憎たらしくて良い演技をしていました。

法廷劇としては、検察のバックリー(ケヴィン・スペイシー)とジェイクの対決になるのですが、ほぼ一方的に検察有利で進んでいて、途中まであまり盛り上がりどころが無かった気がします。しかし、終盤にジェイクの見せ場があって、それはとても良かったと思います。

なかなか面白かったと思います。

鑑賞日:2023年12月23日
鑑賞方法:Amazon Prime Video
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