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日本一の断絶男のodyssのレビュー・感想・評価

日本一の断絶男(1969年製作の映画)
3.0
【高橋厚子さん――クレージーキャッツの時代(その7)】

BS録画にて。
植木等主演の「日本一」シリーズの一作。1969年。

他のこのシリーズ作品もそうでしょうが(全部見ているわけじゃないので推測ですが)、時代色が濃厚に出ています。

冒頭は植木等が宇宙船で月に到着するも仕事を嫌がるという映像が(夢なんですけど)。1969年と言えばアポロ11号が人類で初めて月に着陸した年。それをふまえているわけです。

また、作中では当時流行していたヤクザ映画(鶴田浩二、高倉健、藤純子主演)を意識した設定や場面が多く登場します。パロディの精神に満ち満ちている。藤純子の緋牡丹博徒をパロディで演じているのが緑魔子。

緑魔子はそれ以外でも大活躍ですが、私としてはむしろ、慎ましやかなOL役で登場する高橋厚子さんに注目しました。緑魔子と違って、「お嫁さんにしたい」と思えるタイプの女優さんですね。調べてみたら、東宝で(あの「ウルトラセブン」の)ひし美ゆり子と同期生だったとか。20作ほどの映画に出たようですが、結局ブレイクすることなく終わってしまったよう。でもこういう、失礼な言い方ですけど無名の女優さんにも、魅力的だなあと思える人が時々いるんですよね。高橋さんもその一人でしょう。そういう女優さんを発見するのが、映画を見る醍醐味の一つ。

植木等主演の映画らしく、最後は大風呂敷を広げて終わりますが、緑魔子と高橋厚子という対照的な女優が登場するという点でも悪くない映画になっていると思います。
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