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第七天国のsonozyのレビュー・感想・評価

第七天国(1927年製作の映画)
4.0
『ラ・ラ・ランド』に強く影響し、『アンダー・ザ・シルバーレイク』にも出てきたりと、以前から気になっていた1927年のサイレント作品。

第1回アカデミー賞 3冠
監督賞/フランク・ボーゼイギ、主演女優賞/ジャネット・ゲイナー(『サンライズ』『街の天使』と併せた三作の演技に)、脚色賞/ベンジャミン・グレイザー

パリのスラム街の下水道のゴミ清掃という最底辺で働く男チコ。
アル中の暴力姉と二人暮らしで日々ムチで打たれ夢も希望もない妹のディアン。
この二人のラブストーリー。

タイトル「第七天国」にまつわるシーン。
チコが暮らすアパートが最上階の7階で、チコが初めてディアンを連れてきた際「下水で働いても住まいは星に近いんだ。」と語り、「下なんか見るな、いつも上を見ろ」と二人で星を見上げ、ディアンが「ここは天国よ」と応える。
そして、チコがディアンと結婚を決めた際、ディアンの「一度でいいから愛していると言って」に、チコは照れながら「チコとディアンで天国!」と伝える。

ウェディングドレスまで用意した直後、戦争が始まってしまう。
ドレスを着た彼女の姿を目に焼き付け、「戦地でも毎日11時に君を思う」と約束し戦場へ向かうチコ。
そして4年の月日が流れ・・

さすが主演女優賞のジャネット・ゲイナー(ディアン)の演技力。サイレントでもその感情表現に揺さぶられます。

『ラ・ラ・ランド』のデイミアン・チャゼル監督が「本当に深い感情は時空も現実も物理法則も超える」と表現し、公開当時、夢なのか現実なのかと論争になったというラスト。
これぞ究極のメロドラマでした。
年末はこういうクラシック映画に浸るのもいいかも。(現実逃避?笑;)
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