三樹夫

ハード・ターゲットの三樹夫のレビュー・感想・評価

ハード・ターゲット(1993年製作の映画)
3.8
ヴァンダムにジョン・ウーと暑苦しい2人が合体してできた花火大会のような映画。監督はこれが初ハリウッドのジョン・ウー、製作総指揮にサム・ライミ、出演はロン毛オールバックのヴァンダム、ランス・ヘンリクセン、アーノルド・ヴォスルー、ヤンシー・バトラー、ケイシー・レモンズ、ウィルフォード・ブリムリーとハト。やってることといえば『男たちの挽歌2』をハリウッドでやってみたみたいな景気のいい鉄砲の撃ち合いと爆発で、ケレンだけでできた猛暑の夏に観たい一本となっている。

父親を捜しにニューオリンズに来たヤンシー・バトラーだが、刑事からこの街は危険だから案内人を雇いなとアドバイスを受け、路上でチンピラから助けてくれたヴァンダムを案内人として雇い父親を捜すという西部劇みたいな始まり方をする。街の映し方やストーリー構成が完全に西部劇を意識した作りになっている。
ランス・ヘンリクセンが身寄りのないホームレスを狩りのターゲットに金持ち相手に人間狩りを主催しているという破茶滅茶なストーリーで、街中でボウガンだの鉄砲だのをバンバン発射するとんでもない治安の悪さになっていた。
最終的には人間狩りとかそんなもんは遥か彼方に吹き飛んだ、撃ち合い、回し蹴り、爆発、ハトというヴァンダムとジョン・ウーによる花火大会をド派手にぶち上げ、方がついたらジジイが一言軽口叩いてスパッと終わる最高の映画だ。

街中で撃ち合い始めてとんでもなくボルテージが上がる。これがピークかと思いきや最後は何の工場かわからん屋内で二丁拳銃と回し蹴りでヴァンダムが敵を次々殺していくハイボルテージ叩き出し、人を殺して一言大喜利も時代を感じながらも、すべてが観る者のIQをバシバシ下げていくドラッグのような酩酊感につつまれる。
二丁拳銃やハトはもちろんのこと、ハリウッドに来たのだからと大手を振ったペキンパー的スローモーションの多用、とにかくありったけの弾をぶち込む撃ち合い、死ぬほど弾くらっても中々死なないHPの高さ、壁越し背中合わせからの振り向きざま向かい合い撃ち合いとジョン・ウー演出の詰め合わせ大盛セット。負けじとヴァンダムの回し蹴り100連発みたいなサービス精神に溢れており良い。ヴァンダムのウインクも見逃せない。
有識者(ボディカウント数えてyoutubeに動画あげている海外のボンクラ)の研究によると作中の死者数はハトを含めて39人とのこと。その内の25人ぐらいは主人公が殺している。
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