ぽち

すぎ去りし日の…のぽちのレビュー・感想・評価

すぎ去りし日の…(1970年製作の映画)
3.4
ストーリーの中心が「おっさんの揺れる恋心」なので、後1mmずれればギャグになってしまうようなテーマ。

正直エンディング直前までは昭和の昼メロ程度の内容で退屈だが、病院に運ばれるあたりからの演出や死の描写などが素晴らしく、ガラッと見方が変わった作品。

愛人を病院の窓から確認した後、無言で手紙を破く妻の演出も冴えている。
このエンディングに対して、そこまでの男の描写が甘いのが実に残念。
これといった切欠も無く妻と愛人への気持ちがグラグラしているのはリアリティではあるが、映画としては物足りない。

そして最大の失敗が主人公ピエールを演じたミシェル・ピコリのキャスティング。中年ではなく初老に見える。父親と同年代でもいけそうな風貌。
これに対し美女二人が絡むってのがビジュアル的に無理がある。っていうか、金のネックレスは勘弁してくれ・・・・・

さて、今作はバッドエンド?ハッピーエンド?
男にとってはこれは予想外の最期を遂げてしまうし、女性二人も愛する人を亡くしてしまう。
でも、女性二人は最悪を回避した救われるエンディングを迎えていると思う。
愛人は別れの手紙を受け取る事はなく、彼に愛されていたという想いを持ち続けられ、妻は実際には本心ではない手紙を読み、やはり愛人より私を愛していたという想いをもち続けられる。

ってことで、「不幸中の幸・エンド」と名付けさせていただこう。

実生活でかなり破綻した短い人生を送ったロミー・シュナイダーは綺麗で見所だが、あのオープニングならせめて乳見せがあってよかったんじゃないのか?残念。
ぽち

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