BOB

ワイルド・ブリットのBOBのレビュー・感想・評価

ワイルド・ブリット(1990年製作の映画)
3.8
ジョン・ウー監督の戦争アクションノワール。

香港で暮らすスラム街出身の幼馴染三人組が殺人罪から免れるため、ベトナム戦争下のサイゴンに渡る。

"Bullet in the head"

アクションも壮絶、ドラマも壮絶。舐めてかかると、頭をガツン!とヤラれること間違いなしの劇物映画。

ベトナム戦争に切り裂かれる香港の若者たちの友情を描いた、ジョン・ウー監督らしいパワフルな香港ノワール。プロットが『ディア・ハンター』そっくり(トニー・レオンがデ・ニーロの役回り)なので、反戦映画だと思って観ていたが、クライマックスから考えてそうではなかった模様。強烈な反戦メッセージを持った、友情・絆・裏切りのジョン・ウー・アクション映画と捉えるのが妥当な気がしている。

荒唐無稽な世界だとも感じる一方で、混沌とした香港の時代感、誰もが明日への希望を見出せていない香港の空気感みたいなものにはリアリティを感じた。

今回は、サム・ペキンパーではなく、マイケル・チミノ。戦争の狂気と悲惨さを、強烈なヴァイオレンス描写で描き切っている。特に、マシンガン連射シーンと地雷爆破シーンはあまりに衝撃的。香港返還を叫ぶデモ隊と警察の衝突、アメリカ軍vsベトコンの戦闘、ベトコンの捕虜になった主人公が人殺しを強要されるシーンも強烈だった。

冒頭の青春パートは、笑っちゃうぐらいの"アオハル"演出がなされている。チキンレースと丘の上で勃発するナイフでの決闘は『理由なき反抗』のオマージュだろう。確かに、ラストとの対比は明確になっているが、さすがにこれはやりすぎだと思ってしまった。

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