このレビューはネタバレを含みます
東野圭吾の長編ミステリー映画化。
質屋の主人殺しからドラマははじまる。そしてドラマは単に刑事が逮捕の為に追うのではなく、定年退職後も追うことになるのだった。
「純粋な子供の約束事」と言えば東野圭吾のデビュー作『魔球』もそうであった。犯罪の背景が貧困と背中合わせになっているところも似ている。作者が好むシチュエーションなのかもしれない。
逆に言えば事件は貧困から起こりやすいという「今どき観」あふれる東野圭吾の決めつけとも言える。
また、子供の頃2人は児童館と外で遊んでいるので目撃証人は多かったはずだ。
唐沢雪穂が「白夜行」を歩くための「影の存在」になりきる桐原亮司の存在がいじらしくもあるし、いつまでもそれが続かない事もなんとなくわかるので笹垣刑事が最後雪穂に「このままでいいのか」と問うことや、ラストに屋上で見つけた桐原に思いの丈をぶつける心情はよくわかる。
ただし東野圭吾は男性が故に、女性の特性を誤解しているフシがある。
女性は過去の不幸な記憶は引きずることなく今を生きる事が出来る存在である事を識らない。めそめそと引きずる傾向のある男性とは違うのだ。ただしそれを言ってしまうとこの物語の根幹が崩れ去る。こういったところは女性になんらかのアドバイスを受けてもよかったのではないか。
それはそれとして結末はなかなか衝撃です。
149分の長尺ですが、傑作です。おすすめします。