tamashii

あらかじめ失われた恋人たちよのtamashiiのネタバレレビュー・内容・結末

3.9

このレビューはネタバレを含みます

レンタルでなんとなく手に取った。

うーん、難しい。映画が公開されたのは、60年代の闘争があって、あさま山荘事件よりは前くらい。「何いってるのか、自分でも分かってないだろ」な感覚は、この時代をわかっていないからなのか、そもそもみんな分かんない言葉遣いだったのか。

まあでも、ストーリーは理解できるし、気持ち的にわかるなーという場面も結構ある。石橋蓮司は小難しい言葉に頼って社会を糾弾するんだけど、結局、大衆の暴力に絶望して言葉を捨てる。それも、最初から捨てようと思っていたのではなく、聾唖のカップルに憧れも嫉妬も抱いていたり、大衆の側に戻るかどうかかなり揺れていたりして、ある時ふっと捨てる。この辺りは逆にリアルな気がする。

聾唖の彼氏の加納典明は寡黙で男らしく見えるが、石橋蓮司(の役)は情けなくて、カッコ悪くて、ダサい。そんな彼が、すっと言葉を捨てるところは、結構感動する。要するに、当時の青年の悩みをぎゅっと詰め込んだ映画なんだと思う。一人で見るぶんには、意外と面白かった。
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