ヒムロ

アメリカン・サイコのヒムロのレビュー・感想・評価

アメリカン・サイコ(2000年製作の映画)
4.5
ウォール街の超一流企業で働くパトリック・ベイトマンは仕事もプライベートも完璧。
高級マンションの最高級の音響設備で音楽を聴き、婚約者や同僚と高級レストランで食事をする。
しかし彼にはナルシストで傲慢で反社会性パーソナリティ障害、所謂サイコパスであり快楽殺人者としての裏の顔があった。

この映画を見るのは2度目だが、やはり最高だ。

サイコとして描かれるベイトマンの言動は何故かどれも魅力的で愛してしまう。
自分語り、音楽語り、自分の筋肉を鏡で見ながらのセックスに名刺の出来ひとつで脂汗を垂らして悔しがる。
ナルシストでサイコパスであるということは狂気的な側面もあるが、見る人からすれば自信に満ちていて魅力的とも見えるものだ。
すっかり僕も見ていてベイトマンを大好きになってしまう。
社会性がない彼を形容する言葉としては些か奇妙な表現だが、この映画に出てくる人物の中で一番人間らしいのがベイトマンだ。

そしてこの映画の本質はラストの奇妙なシーンにある。
様々な説があるが僕は他人に無関心な現代人を皮肉った演出なのではないかと思う。
故にベイトマンは誰かにしょっちゅう間違われたり、居もしない会食にいたことになっていたりするのだろう。

そしてそんな世界だからこそ、他人に嫉妬したり評価されたがるベイトマンが輝いて見える。
ベイトマンが主役として成立する絶妙な采配がここにあると思う。
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