スラッシャー映画好きの私からすると、いやあよかったですねえ。
グロシーンが控えめで、だからというわけではありませんが落ち着いてドラマを見ることが出来ますね。
端々のギャグが冴え渡ります。グロのインパクトに頼るものかという熱意すら感じますね。こういうスラッシャー映画、新鮮でたいへんよかったです。
クリスチャン・ベールがまたしてもいい演技を見せてくれました。本当に一流のエンターテイナーって感じ。ターミネーター４をぶち壊しにさえしていなければ本当に素晴らしい俳優さんだと思うのですが。
挿入歌も抜群にセンスがいいですね。やはり映画とは引用の芸術であり、挿入歌もまたその一つの要因であると考えます。「地獄の黙示録」でワーグナーが使用された意図もなーんも考えずにとりあえず戦場と化した場面にワーグナーを流してみたり、どっかの下らない映画祭みたいに「音楽もオリジナルじゃなきゃね〜」などと思ってもないことを堂々と言っちゃっても大丈夫な雰囲気になっているから、日本の映像表現界はいまだに前時代的なのである。大丈夫な訳がない。きちんと音楽を引用できる力も、必要なのだ。
さて、本作はクリスチャン・ベールがイカれた殺人鬼を演じているのだが、たまに妙に人間っぽいところを見せてくれるというあまり見たことのない殺人鬼で新鮮でよかった。トイレで殺そうとしていた相手に逆に犯されそうになって尻尾巻いて逃げ出すサイコ野郎とかいいギャグだし、ぶったまげのラストシーンの伏線になっている感じがしてよく出来ていると思った。
一言でいいますが、傑作ですね。
続編があるようなので見てみようと思います。
