コータ

顔のコータのレビュー・感想・評価

(2000年製作の映画)
4.7
また好きな映画が増えた。
こんなに愛溢れる結末が待っていたとは!

妹殺しの罪を犯した女性の逃亡劇を、人間味たっぷりに描いた異色の犯罪映画。

藤山直美演じる吉村正子は引きこもりの中年女性。急死した母の葬儀の晩、仲の悪い妹をはずみで殺してしまった正子は、長年閉じこもっていた家を飛び出す。そこから始まる異色の逃亡劇。

内向的で欲のない引きこもりの主人公が、事件をきっかけに外の世界に飛び出すことを余儀なくされ、さまざまな人々との出会いの中で、いつしか生きる活力を身につけてゆく。

藤山直美のちょっとした動きや、セリフの発し方が天才的!奇妙で可笑しな女の開き直りを見事に表現している。

このどんくさい、どうしようもない、しかも殺人まで犯している主人公に、どこか自分を重ねて共感を覚えてしまう。
今までの自分を捨てて、新しく生まれ変わるのは悪くないと。そうして人は生きていき、愛される人間になるのだと。
コータ

コータ