河志麻二十日

顔の河志麻二十日のレビュー・感想・評価

(2000年製作の映画)
4.2
藤山直美すげぇ〜!
これに尽きると思います。おかしなことを言いますが、人を殺すのも悪くないなぁって、人生を変えるには。妹を殺したことで、どんどん元気になっていく姿がとても新鮮でした。個人的に一番好きな朝ドラ「芋たこなんきん」の時とは大違いで、藤山直美の凄さを見せつけられました。対位法の音楽も良かったです。

脇を固める俳優陣も個性豊かでした。牧瀬里穂は、殺したくなるほど憎い演技をするし、豊悦はイケメン枠なのか否か微妙な感じが、ちょうどいいチンピラ感を醸し出しているし(ソナチネの時ともちょっと違う)、岸部一徳に國村隼、中村勘九郎はしょぼくれたおっさんを好演。佐藤浩一の不甲斐なさも良かったです。

正直、殺人者だって、気づかなければ何処にいてもおかしくないと思ったし、いたところで、吉村正子の様に生きていたら、むしろいてほしいと思う人はたくさんいるでしょう。人はそれぞれ何かしらの裏腹を抱えているけれど、正子の場合、新しく生まれ変わった人生と殺人が裏腹の表裏一体で、避けては通れないものだったのかと思うと、少し同情します。何なら映画の途中から、観る者皆んな、正子を応援してしまいます。頑張れ!逃げろ!って。

久しぶりに最初から最後まで釘付けになる映画を観ました。面白かったです。